占い師という仕事柄、住まいや環境の変化には少し敏感です。
たくさん迷いながらも流れに身を任せ、ご縁あって住まいを購入することができました。
これからはいよいよリノベーションが始まり、新しい暮らしへ向けた準備が本格的に動き出します。
このカテゴリーでは、住まい探しの記録に続き、リノベーションの過程や家づくりでの気づき、完成までの道のりを綴っていきます。理想を追いかけるだけではなく、現実との折り合いをつけながら、自分たちらしい暮らしを形にしていく過程も残していきたいと思います。
設計打ち合わせで私が後悔したこと
わが家はフルリノベではなく、部分リノベを選択しました。そして、第1回の設計打ち合わせは実地計測を兼ねた打ち合わせ。1週間後、議事録とともに最初の間取り図が送られてきました。
その図面を見た瞬間、「この部屋は狭すぎる」と感じました。3LDKの一室が約3畳。シングルベッドを置いたら終わり。収納も置けず、将来的にも使いづらそうです。そこで私はすぐにメールを送りました。
「リビングを広くする案はやめたいです」
「自由にアイディアをいただけませんか」
そうお願いして、2回目の打ち合わせに臨みました。でも、今振り返ると、この流れはあまりおすすめできません。なぜなら、実地計測の日は、ほぼ間取りの話しかできないからです。
寸法を測りながら、
「ここは何センチ」
「この壁は動かせます」
「収納はここですね」
そういう話が中心になります。もちろん、それは必要な工程です。でも、その前に話したかったことが、私にはありました。
私は占い師という仕事をしています。
鑑定でもそうですが、人は未来を言葉にしたとき、自分でも気づいていなかった本音に出合うことがあります。だから家づくりも同じだと思っていました。
朝、どんな光で目覚めたいのか
休日はどこでコーヒーを飲みたいのか
オンライン鑑定はどんな空間でしたいのか
料理をしながら何を眺めたいのか
そういう「暮らし」の話を2時間くらいかけてしたかった。スクラップしてきた雑誌を広げながら、
「こんな空気感が好きです」
「こんな素材を見ると落ち着きます」
そんな話をした上で、
「それなら、この間取りが合いますね」
「この素材なら予算内でできますよ」
そんな提案を受けるものだと、勝手に思っていました。でも、部分リノベには、その時間はありませんでした。
予算が限られている以上、そこまで工数をかけられない事情も理解しています。だから誰かが悪いという話ではありません。ただ私には、理想の暮らしを見える形で持っていくことを許されなかったような感覚が残ったのです。
最初に届いた間取りには、参考イメージも添えられていました。でも、それは私たちが望んでいる方向とは違いました。
例えば、IKEAのような明るくカラフルな空間が好きなのに、リビングに小上がりの畳があるような感覚。あるいは、アメリカンヴィンテージが好きなのに、フレンチシックな家具を提案されるような感覚。
「違う、そうじゃない」
そんな気持ちでした。
もちろん、設計士さんは悪くありません。私たちが好きな世界観を知らないのだから、当たり前です。でも、その「好き」を伝える時間がなかった。そこが、一番もったいなかったと思っています。
じつは、この頃の私は少し燃え尽きていました。
半年間、物件を探し続けてきました。ELLE DECOR、Casa BRUTUS、relife。気になる雑誌を買ってはスクラップし、Pinterestも見続けました。フルリノベを前提に、こんな暮らしがしたい。そう思って積み上げてきたものがありました。
でも、予算オーバーでフルリノベは断念。部分リノベに切り替えたことで、インテリアもゼロから考え直しです。キッチンは既存。水回りも既存。
最初に思い描いていた、ステンレスキッチン。躯体現しの天井。黒いダクトレール。そんなインダストリアルな空間は難しくなりました。
もう全部考え直しか。そう思った瞬間、糸が切れたように力が抜けてしまいました。もちろん、物件を買ったことを後悔したわけではありません。この部屋は、半年探してきた中で唯一、
窓から緑が見えて、
風が気持ちよく抜けて、
低層階
という希望まで叶えてくれた家でした。
だから、「ここに住みたい」という気持ちは変わりません。困ったのは、その先です。どう暮らしを形にしたらいいのか分からなくなってしまったのです。
リノベ会社では担当営業からインテリア相談は対象外と言われてしまいました。誰に相談したらいいのかも分からない。だから私は、アクタスへ駆け込みました。そこでインテリアを一緒に考えてもらっているうちに、不思議な感覚がありました。
「あれ、この雰囲気、どこかで見たことがある」
そう思って、帰宅後にスマホの写真フォルダを見返してみたんです。すると、半年前に保存していた一枚の写真が出てきました。そこには、今まさに目指そうとしている空間がありました。
グレーを基調にした静かな空間
余白のあるリビング
美術館のような落ち着いた雰囲気
私は忘れていただけで、ずっとこの空間に惹かれていたのです。潜在意識は、とっくに答えを知っていました。だから、回り道をしたように見えても、ちゃんと自分の好きな場所へ戻ってきていた。
占いをしていると、「遠回りに見える出来事ほど、必要な時間だった」と思うことがあります。今回の家づくりも、きっとそうなのでしょう。
もう私は迷いません。
今つくろうとしている家は、誰かの理想ではなく、私たち自身が本当に望んでいた暮らしなのだから。

