心を整え、深呼吸。
いよいよ滝へ向かいます。
見上げると、空はどこまでも青く澄み渡っていました。

夏らしい力強い青空。
その景色を見ているだけで、不思議と気持ちが引き締まります。
「さあ、行っておいで」
そんなふうに背中を押してもらっているような気がして、自然と胸が高鳴りました。
滝修行は、ただ水に打たれる体験ではありません。
導師の読経とご祈祷のもと、厳かな空気の中で始まる修行です。

滝の上から落石などの危険がないよう祈っていただき、心身を整えてから滝へ向かいます。
読経が響く静かな山の中。
その場にいる全員の祈りが重なり合う時間は、何度経験しても身の引き締まる思いがします。
滝へ入る前には、お作法があります。
昨年教わった所作も、一年経つと意外と忘れてしまうもの。
今年は出発前から何度も頭の中で流れを確認していたので、落ち着いて行うことができました。

そして、いよいよ滝の中へ。
一歩足を踏み入れた瞬間、
冷たい!
という言葉しか出てきません。
真夏とは思えない冷たさ。
頭上から容赦なく落ちてくる水。
肩や背中に響く強い水圧。
全身で自然の力を受け止めている。
そんな感覚でした。

それでも不思議なことに、読経を続けているうちに、冷たさばかりを意識していた心が少しずつ変わっていきます。
気づけば寒さを忘れ、心が静かになっていました。
言葉ではうまく表せませんが、私には、すべてが洗い流されていくような、とても清々しい感覚がありました。
滝から上がる頃には、不思議なくらい晴れやかな気持ちになっていました。
そして毎年思うことがあります。
また入りたい
滝に入る前は緊張しているのに、終わると来年のことを考えている。
この感覚が本当に不思議です。
滝修行では、体幹の強さも試されます。
強い水圧に耐え、足元の流れに踏ん張りながら、自分の姿勢を保ち続ける。
その姿は、人生にもどこか重なるように感じました。
思いどおりにならない出来事や、心が揺れる瞬間があっても、自分の軸を失わないこと。
滝は、その大切さを全身で教えてくれます。
頭上から降り注ぐ水。
足元を流れる水。
吹き抜ける風。
自然の厳しさと優しさを一度に感じながら、自分自身と向き合えた時間でした。
今年も無事に滝行を終えられたことに、心から感謝しています。


